10/12、シリーズ経験者にとっては毎年の恒例行事ではあるが、Call of Duty: Black Ops 4(通称COD: BO4)が発売された。僕もMW2(9年前のシリーズ作品)からCODソムリエをやっているのだけれど、今年のBO4は結構面白いかもしれない、と思ったのでせっかくなので記事にしようと思った次第だ。
あらかじめ言っておくと、この記事は全くもって初心者指南ではないことに注意して欲しい。どちらかというと、CODシリーズの楽しみ方とか、今作BO4のどこが良さそうな雰囲気を醸し出しているのかなどを書いていこうと思う。
そもそもFPSというジャンルとは
FPS(First Person Shooter)はその略の通り、一人称視点のシューティングゲームで、もっぱら銃で人やそれに類する敵を撃って楽しくなろう!!!というゲームである。
野蛮ではない平和なスポーツゲーム
こう言ってしまうと世間の言うゲーマーのダークサイドみたいなジャンルなのだけれど、むしろこのゲームを日本人でも多くの人が楽しめている現状が、平和なのだと思う。これはサバイバルゲーム(エアガンでの遊び)にも共通しているとは思うし、むしろやり投げだって砲丸投げだって冷静になればかなり野蛮な行為がスポーツになっているわけだし、オリンピック競技になるのだから、FPSやサバゲーだって平和の象徴である(論理飛躍)。
ただボールを投げたり蹴ったりするだけではチームスポーツにならないように、FPSだって銃を撃つだけではない。もちろん銃を撃つことが主軸ではあるのだけれど、例えば基本的な先に目標人数倒したら勝ちになるルールや拠点に敵が侵入しないように防衛するようなキル以外の目標があるルールもある。
e-sport的な試合もかなり昔から存在していて、対戦ゲームとしての土壌はかなり仕上がっているジャンルだと僕は思っている。
単純ではあるが簡単ではない競技性
いざ銃を撃つといっても、現実的な難しさとは違い基本的にFPSゲームでは画面中央に敵を捉えて銃を撃てば当たるし、そのまま敵を倒せる。もちろん、リアルさを求めて弾の落下や弾速などが表現されているゲームもあるけれど、だいたいはそれだけで良い。だから、FPSでは 移動 視点移動 射撃 の3つの操作項目があればゲームが出来上がる。
スポーツでの例えが多くなってしまって申し訳ないが、FPSが銃撃ってるだけのゲームなら、サッカーはボール蹴ってるだけのゲームである。何を言っているんだこのインドアゲーマーが、と思うかもしれない。全くその通りで、これは前者も後者も深い競技性があるからこそ広く遊ばれているはずだ。
FPSで一般に強い、とされる人は超人的な反射神経を持っていたり、それに応えうる極めて正確な操作能力を持っている事が多い。一方で、一般人レベルの僕たちは少し意識するだけでゲームで勝てるようになったりする。これはつまり、身体能力がモノを言う単純な競技としての側面と、戦術で能力差を埋める奥深い競技としてのどちらの側面も持っていることに他ならないと思う。
超人たちのスーパープレイを眺めるもよし、実際に自分でそういうプレイを真似して自己満足するもよしな、ハードな見た目に反して戸口の広いジャンルだ。
今や沢山あるFPSのゲームの中でのCOD
一昔前は日本でマッチングするFPSゲームというとこのCODかBattlefield(BF)の2つぐらいだった。今ではこの他の有名なゲームとして、Overwatch(OW)とかRainbow Six Siege(R6S)がよくプレイされていると思う。
CODはカジュアル性と個人技が活きる環境がウリ
そんないくらか種類のあるFPSというジャンルの中でキャラ分けをしていった時、CODはおそらくカジュアルでありながら個人技が重視されるという矛盾のあるキャラ付けが出来ると思う。一般的な実力のプレイヤーから見る4つのFPSゲームを分類すると次のようになると思う。
- COD : カジュアル路線。個人単位で試合を動かせる。
- BF : カジュアル以上のお祭り感。32対32であるため個人単位でどうにか出来ない事が多い。
- OW : 見た目に反してチームの連携が重要なe-sport向けのゲーム。
- R6S : 復活出来ないルールが中心の硬派なFPS。覚えることが多く敷居が高い。
といった雰囲気があると思っている。もちろん、どんなFPSだってe-sport向けのルールとか大会が存在するのも事実ではあるのだけれど、あくまでも我々一般プレイヤー的な観点であることには注意して欲しい。
そういった中でCODではルールごとに差異はあるものの、最も人口が多いカジュアルなルールでは、チームに一人ぐらい初心者がいたところで、他の上級者が平然と試合をひっくり返す事ができるゲームだ。もちろんマッチングやチーム分けはパーティを組んでいない限りランダムなので、場合によってはかなり一方的な試合になってしまうこともあるのだが。
逆に捉えるなら、自分の力で試合が動くので、成長を素直に意識しやすいのがCODの特徴だ。BFやOWは一度自分がデスしてから戦線への復帰が遅かったり、R6Sはそもそも復活不可のルールであることもあって、数的優位がかなり重要になってくる。一方でCODは戦線への復帰も速く、マップも6対6(もしくは5対5)という規模に比べて広く使えるため、一対一の対決が多い。そういう意味でCODは自分の実力と自分の成績が直結しやすいため、かなり成長を感じやすいのだ。
短い試合時間
CODのカジュアルさを助長しているのが、その試合時間の短さである。大体のルールで一試合が6~10分程度と比較的短い。例えばBFだと大規模なルールでは一試合30分もかかるので特に劣勢続きの試合だと精神的にも面倒になってくる。そういった意味でCODは例えば相手が強すぎると思ったら違う人とマッチングするように再検索して切り替えることも出来るので気楽にプレイできると思う。
一人で試合を動かす爽快感
そして何より僕がCODを一番楽しんでいる瞬間は、「これ絶対僕がいなかったら勝てなかったよね」的な試合展開になった時である。まあここまでひどい自己顕示欲の発揮の仕方もどうかとは思うのだが、CODにある程度慣れてくるとそういったことを経験できるようになると思う。
そうでなくても、上手く噛み合った時に敵を3連続だったり4連続で倒せたりすると、誰でも自分が強いのでは???と錯覚することが出来る。これはやられても簡単に復活できるというCODのゲームデザインが為せる技で、他のFPSだと早々上手くはいかない。というよりは僕がそのせいで他のFPSに馴染めていないところがあるのだが。
そういった意味で、CODはスーパープレイの敷居が低いと思う。語弊のある言い方かもしれないけど、CODのカジュアルなキャラクター性とキルの取りやすいゲームデザインが相まって、他のFPSよりも俺TUEEE的な(死語)プレイをしたい人にはおすすめだ。
BO4の良さそうなところ
実は近年のCODシリーズは賛否両論だった。というよりは他のFPSゲームの選択肢が魅力的になる中で、CODのキャラクターが迷走していたというのが正しいだろう。
他のゲームを(やっと)上手く取り込んだ
CODシリーズはキルストリークという連続でキルをすると使える強力な兵器で戦況を動かす事が出来る目新しい要素で人気を博した経験のあるシリーズである。
CODが人気になった後、BFが32対32という大規模でとりあえずワイワイ出来る圧倒的な戸口の広さを見せたり、CSGOやCOD4Promodといった高い競技性がウケた。さらにはTitanfallではプレイヤーが宙を舞い新たな次元の戦いを見せたり、Overwatchでは武器ではなく兵士自体にキャラ分けをした戦略性が人気になったし、PUBGはいわゆるバトロワ系の先駆けとなり、歴史的なヒットをした。
こういった中で、CODはトレンドを取り込もうとしてきた訳だが、正直な話をするとそこまで上手くなかった。戸口を広げようとすれば、ゲームサイズが幸いしかえって上級者がゲームを制圧したし、空を飛ばせれば多すぎる過去作プレイヤーが地上派と空中派で分裂してしまったのだ。こういった中でBO4の前作にあたるWW2は古典的な銃撃戦とキルストリークのみのゲーム性になり、評判はともかくとして多くのプレイヤーがCODに戻ってきたのは事実である。
そんな時このBO4はチームプレイの重視やバトルロワイアルの導入といった、また頑張って若者の流行にしがみつく中年のおっさんみたいなことを宣言した。発表があった時の僕はこれっぽっちも期待していなかったのだが、いざ実際にプレイしてみると確かに他ゲームの面影を感じるものの、これは紛れもないCODだった。
緩い連携がもたらす様々な恩恵
例えばOverwatchのような密接な連携を要求するゲームでは、複数の友人でチームを組まなければゲームを十分に楽しみきれないのだが、BO4ではその連携が絶妙に緩い。
OWはキャラクターを選んでプレイし、選んだキャラごとに体力も使える武器も特殊能力も違う。つまりチーム編成の時点でどんな戦い方が理想であるとか、戦線での立ち位置だとかそれ以上にチームの強さがだいたい決まってしまう。
一方BO4でもキャラクターを選ぶ訳だが、基礎性能は変わらないし、使える武器はまた別に選ぶ事ができる。特殊能力も確かにルールや使い方次第では試合を動かすことは出来るが、むしろそれは選べる武器の一つに近い。チームの編成も確かに重要ではあるが、あくまでも個人技を活かせるCODらしさも兼ね備えている。
※真面目に解説すると、この要素は過去シリーズのBO3やIWでも存在していたが、1試合で1,2回しか使えない能力だった。強くすれば問題児になり、弱くすると影が薄くなるため扱いが難しい要素だった。BO4では比較的回数を回せる特殊装備と試合で数回しか使えないUlt的な2つの要素を用意したため、キャラクター選択を有意義にしつつ個人技も活きるように出来た。
また、自分の付近の敵の位置がマップに映ったり、アシストがキルとして加算されたりと連携すれば恩恵はある、という要素を持たせつつ、単独行動で敵の裏を取ったり、キルストリークで相手を制圧したりする事もできる。戦術の選択肢の一つとしての連携を上手く用意していると思う。
爽快感のあるバトロワ
PUBGはそのブームの火付け役として、100人の頂点に立てるという自己顕示欲マシマシなゲーム性が多大にウケたのだと思う(僕の勝手な想像)。実際ドン勝した時の快感指数(僕の勝手な造語)は極めて高い。一方で、どうにかしてドン勝をもぎ取ろうとしてかなり陰湿な待ち方をすることも多くある。そういった部分で、CODとバトロワというジャンルはあまり上手くいかないのでは?と思っていた。
実際蓋を開けてみると、CODらしいゲームデザインと言うか、マップサイズに対して明らかに対戦人数が多い。つまり、開発側の意見を汲み取るなら、CODらしくバトロワをやってくれということである。キルストリークみたいなインチキめいたアビリティとCODらしいあまりにも当てやすい武器達が相まって、下手に引きこもるより好戦的に突撃していったほうが戦果を上げやすくなっている(気がする)。
まあ僕もまだ製品版になってからはドン勝が取れていないので、あまり踏み込んだ話は出来ないのだけれど、動画を見る限り楽しそうな雰囲気はあることだけは言っておきたい。
おわりに/おすすめな人
最後にこの文章の締めくくりとして、おすすめな人を書いていこうと思う。
まずは、BO2だとかBO3に熱中していた往年のCODプレイヤーだ。Treyarchらしいマップデザインとゲーム性に新要素が上手く溶け込んでいると思う。BOやBO2のマップが復刻されているので懐かしい気分に浸れると思う。
そして次に、FPSをやってみたいけど経験者にボコボコにされそうで恐れている人だ。このゲームがおすすめな部分として、誰にも迷惑をかけないバトロワも出来ることがある。さらに、固まって強い人と動けば助けてもらいやすい環境だと思う。いやまあFPSって慣れるまでが長いのでちょっと忍耐が必要かもしれないけど。僕がやっている限りでは初心者から上級者まで幅広い層がこのゲームをプレイしていると思う。
また新たなジャンルのゲームについてでしたが、如何だったでしょうか。ここまでお読みいただきありがとうございました。
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