ここ数日の記事に匂わせていた新作ゲーム。その名前はDEATH STRANDINGという各種方面から話題のゲーム。ブログに書くことは少なかったけれども、僕はMGSシリーズのファンだ。その監督である小島秀夫作品である本作を買わないわけもなく、僕は発売日当日からプレイしている。
おおよそ僕の新作ゲームの姿勢は、とにかく最後までクリアする、話はそれからだ、というスタンスなのに、発売から4日経ってもまだ、クリアできていない。もちろんそれはプレイ時間が確保できてないということではなく、どちらかというとクリアに向かう前に何故かやりこみを始めてしまうという不思議な事態が生じているからだ。
僕の心象からすると、とても楽しいゲームだけれど、僕が贔屓目であることも重々承知である。でも、書かずにはいられない気がしたので、まだクリアもしていないのに紹介記事を書くことにした。
素材は極めて退屈なゲーム
どうして最初にこのような見出しが来てしまうのか。それは、このゲームの概要を雑に言えば、極めて広大なフィールドで荷物を運ぶお使いをするだけのゲームだからだ。もちろん、このゲームにはもう一つの骨格として、著名なキャストを採用したストーリーというのもあるが、それはまだ僕がクリアしていないのもあるので、あえて触れないでおく。
そして、それを加速させるのが、マップが未開の地すぎることである。もちろん、特定の人しか出歩かない設定をしているのだから当たり前だろう、と思う人もいるだろう。けれども、いくらポストアポカリプス系とはいえ、移動しやすいルートがほとんど存在しない地域が存在するゲームは早々ない。ゲームなら、便利なルートが(場合によっては露骨に)用意されていることが多い。その上、主人公は放っておくと躓いて転ぶ始末。
当然ながら、主人公に身体能力的な超人設定は存在しないので、荷物が重すぎる場合は主人公の移動速度はかなり遅くなる上に、より転びやすくなる。その他の要素もあって、不便さがこれでもかと強調されるのが、このゲームの最初の印象だ。
次第に便利になることの喜び
ゲームで面白いと感じる要素の一つに、強敵を倒すというものがある。このゲームでは戦闘の難易度をいつでも変えることが出来ることもあって、戦闘がメインの障壁であるとは感じていない。このゲームの最大の障壁は荷物運びのかったるさである。
このかったるさを解消するための要素が、ストーリーとやり込み具合によって解禁されていく。なんだ、それだけならどんなゲームでも一緒じゃないかと思う人はきっと多い。けれども、このゲームで面白いのは(恐らく意図的に)最適解が用意されていないことである。
主人公は梯子やロープを使って斜面や悪路を突破できるが、持ち歩ける道具は荷物の一つとして数えられてしまうので、道具を持ちすぎては本末転倒になる。
乗り物は当然素早い移動ができるが、障害物があると通行不可になることもあるし、そうでなくても徒歩よりも走破性が劣る。
橋をかけたり道を設置すれば格段に便利になる一方で、インフラ整備のためのコストが他の手段に比べてかかりすぎる。
一見強力に見える道具や乗り物も、いずれ壊れてしまうし、入手が大変なので再生産を考えると一概に良いとは言えない。
なんだ、結局面倒なままじゃないか、と思うかもしれない。けれども、その試行錯誤が面白いし、ちゃんとゲームになっている最大の理由だろう。ここに梯子を設置したら便利だろうか。ここは何度も通るのでコストはかかっても橋をかけるべきだろうか。ここまでは乗り物で素早く移動できるので、ここで乗り物を乗り捨ててしまえばよいだろうか。そんな試行錯誤をして、そしてそれが上手く行った時は極めて楽しいのだ。
ちょっとばかり棘のある言い方になることを予め断っておくが、こういった試行錯誤を楽しめないのなら、あなたはゲームを趣味にすることにえらく向いていないだろうと思う。
そして、この便利になるための試行錯誤が、オンライン機能によって何倍にも面白くなる。
試行錯誤が繋がる瞬間
このゲームはまずは一人で未開の地をクリアする必要がある一方で、一区切りつくと、ある区間におけるプレイヤーの設置物が一気に共有される機能が備わっている。崖を登るために簡易的に設置した梯子も、長期的に重要だと思い建設した橋も、ここでは無理だと乗り捨てた乗り物も、自分のマップ上に出現する。
自分が新たに通ろうと思った道に障壁があった時、既に道具が置いてあったり、逆にどうしようもなくて立ち止まったのであろう痕跡も、それが全て目の前に現れる。ああ、みんなこうするのかと感じたり、そんな使い方があったのかと驚くこともある。そしてたまに、どうしてこんなものを置いたのだと思うときもある※。
※気に入らないものは撤去できるようになっている
そして、使ったものに、便利だと思ったものに評価を送ることが出来る。使ったものに関しては自動的に送る機能があるが、これらは当然自分が受け取ることもある。これはちょっとした自己顕示欲を満たす要素だが、その大切さはこのブログのコンセプトが語っている。
次第に自分と、そして他の多数のプレイヤーによって進化し続けるマップ。まさしく未開の地が文明化していく様子を体験できる。最初は多くのプレイヤー通った場所が簡単な道になるだけだった世界も、いつしか様々な設備のある便利な世界に次第に変貌する。
デススト、これもしかして「他のユーザーが踏みしめた場所」の草が剥げて、道になってる…? #ps4shere #DeathStrading pic.twitter.com/rPqUDoZbw4
— 覇王別姫樹里🌵@23時〜お絵かき雑談配信! (@SabotenVtuber) November 10, 2019
最初に感じたあまりにもだだっ広くて、配送には不向きすぎるマップが、快適な道になった瞬間に、ようやくこのゲームの繋がる意味を理解する。
それは、もちろんマルチプレイの大切さだろうが、それ以上に、どうしてこんなストレスまみれの素材に豪華なキャストを混ぜた理由すら、繋がるのだと思う。
もちろんこれは、僕の感じたものに他ならない。けれども、あまりにも割り切ったマップとゲーム性のゲームがここまで自信と信念をもって送り出されたのか。それは確実にこのゲームの随所に盛り込まれていると思うし、プレイせずに語るのはちょっと難しい。もしかしたら、見つけられずに飽きてしまうかもしれない。けれども、間違いなく、何か今までと違うゲームをしてみたいと思うのなら、このゲームほどふさわしいゲームは早々見つからないと僕は断言できる。
今回はここまで。お読みいただきありがとうございました。