サンブレイク追加に伴う、大規模なライズのアップデートにより、溜め補正が修正された。物理方面の補正値は弱体化され、属性方面の補正値は強化された、というのが大まかな傾向である。ただし、ライズの弓は物理ダメージの占める割合が高いため、総合して弱体化方面に見える。
ただし、それを補うような鉄蟲糸技も追加されているため、一概にすべてが弱体化というわけではないが、本記事ではその議題についてはあえて触れない。ここでは、変更された溜め倍率は武器選定にどのように影響するかを、各種矢タイプの実質モーション値を比較して議論していく。
なお、本記事のデータは以下のサイトの結果を引用している。
溜め補正について
本作の弓を理解する上では溜め補正は非常に重要だ。基本的にはMHXX以前の仕様に戻ったと言ってしまえば簡単だが、MHW以降に弓をはじめた人には全く馴染みのない話である。
弓の射撃の威力を決定するのは、矢タイプと矢レベルに依存するモーション値と溜め段階に依存する溜め補正の2つの要素がある。
まずモーション値とは、技の威力に相当する値だ。単純にモーション値が高ければ威力が高いと判断できる。多くの武器の溜め攻撃は、溜め段階に伴って高いモーション値の技を出すことで溜めの高さが反映されており、モーション値表を見ればだいたいの威力を把握できる。
一方で、弓ではモーション値に溜め補正を別途乗算して威力を決定する。溜め補正のせいで、モーション値と実際の威力が逆転することもある。マガイマガド弓の溜め1貫通Lv5のように、低い溜め段階に高い矢レベルが設定されていても、溜め段階の影響で少ないダメージしか出ないのだ。
そこで、これから紹介する矢タイプごとのモーション値は、溜め補正をかけたあとの実質モーション値で表記する。そのため、実際にその補正の値を知っている必要はないが、ここで簡単に紹介する。
- 物理:溜め1から0.65/1.0/1.25/1.35
- 属性:溜め1から0.8/1.0/1.1/1.2
ライズ時点に比べて、各溜め段階の差が小さくなる方向の調整が入っているものの、溜め段階が高ければそれだけ威力が出る、という傾向は変わらない。
矢タイプ
弓の矢タイプは3種類あり、それぞれに矢レベルが5種類存在し、4段階の溜め段階があるので合計で60種のモーション値を持つ(存在しない組み合わせもある)。
連射
MHWでは通常矢という名前だったが、本作では従来作品と同じ連射矢という名前に改められた。
1~4本の矢が一箇所にまとまって飛ぶ。この特徴から他の2矢タイプに比べて非常に与ダメージが安定しやすい。射程もCS2回分ほどはあり、そこそこ長い。至近距離では近すぎのマイナス補正がかかるが、実際の立ち回りで発生することは少ない。
総じて無難で扱いやすい印象があるが、この連射矢のモーション値は次のようになる。
モーション値は合計モーション値を示していて、括弧内に矢1本あたりのモーション値を示している。最終強化ではLv3以上の矢が中心になるので、それに絞って解説していく。
特徴として、Lv3とLv4のモーション値の差が非常に大きいことが挙げられる。矢一本あたりの火力は同じだが、矢の本数がそのまま1本増えるので、威力も単純に4/3倍になっている。
Lv4からLv5へは差だけで見ると1の差しかないが、倍率で考えると1.1倍になる。溜め4を中心に立ち回るのであれば、攻撃力に1.1倍弱の差がなければ矢レベルの差が埋まらないことには注意したい。
サンブレイクからの変化点として、溜め4Lv4よりも溜め3Lv5の方が威力が高くなるようになった。これは、ライズ時点の1.5→1.7(約1.13倍)からサンブレイクは1.25→1.35(約1.08倍)に変化した点にある。
もちろん、属性ダメージもあるため単純な話ではないが、「強い矢レベルが溜め3で溜め4が弱い」や「溜め段階開放でようやく溜め3」といった特徴の弓を採用しやすくなったと言えるだろう。
また、溜め3溜め4の弱体化に伴い、溜め2の火力が意外と馬鹿にできない。属性補正も改善されており、低い溜め段階の矢もちゃんと狙っておくと火力が稼げるだろう。
前作では基本連射矢でなんとかなっていたが、属性ダメージの比率がライズに比べて上昇したこともあって、ヒット数が相対的に少ない連射矢はやや不遇な立ち位置にある。ただし、追加された鉄蟲糸技の矢強化とはかなり相性が良く、今後の武器追加でのポテンシャルは十分に期待できる。
拡散
MHWの剛射がこれに相当する。横1列に矢を3本もしくは5本射つ。したがって、フルヒットのためには接近している必要がある。ちなみに矢の射程自体は連射より若干短い程度。実質の有効射程がかなり短い。
名前の通り矢が色々な方向に飛んでしまうので、安定してフルヒットさせるには近接武器に近い立ち回りが求められる。近距離での立ち回りを意識しても、ヒット数はモンスターの形状や動きの速さに依存する。
矢の本数は変わらなくても、モーション値が明確に差別化されているおかげで、本数の変わるLv2とLv3の間だけでなく、Lv3とLv4の火力差も十分に大きい(1.28倍)。
火力設定を見ればわかるとおり、半分以上の拡散矢を5本当てなければ同レベル同溜め段階の連射矢にモーション値で負けてしまう。実際には属性ダメージも関係するが、どうせ使うならフルヒットさせる意気込みが必要である。
ライズ時点ではLv5にあまり恵まれず、選択肢が少なかったが、サンブレイクではLv5を持つ弓が大幅に増加し、実用的な属性値を持つ武器も多い。
ただし、MRゆえモンスターの火力が高く、追加モーションが強力なモンスターも増えた。ライズ以上にハイリスクハイリターンな矢タイプ、という位置づけにもあるだろう。
溜め2Lv5に関して言えば、溜め3連射Lv4と同等かつ属性ダメージ補正込みでは拡散の方が上など、それなりな火力になってきている。もちろん主力は溜め3以上ではあるものの、使っている弓の溜め2以下も何を射っているかは知っておくべきだろう。
貫通
今までは一矢のみだった貫通属性の矢が復活した。文字通り、1本の矢が貫通して複数ヒットする。ボウガンの貫通弾と同様、モンスターの体格に強さが依存する。
CS4回分程の長射程だが、CS2回分程度の距離から近すぎ扱いになる。この弱点は接撃ビンを装着することで解消できるが、射程も連射矢を少し長くした程度になる。結局立ち回り的には連射矢と大して変わらず、弱点に奥行きがあるモンスター相手に特に有効という立ち位置にある。
ヒット数に伴って実際のモーション値は上下する。見て分かる通り、貫通矢が1ヒットあたりの威力が最も高い矢タイプである。とはいえ、ヒット数が確約されているわけでもなく、MHW:Iの弾丸重化貫通弾ほどのヒット間隔でもないことには注意する必要がある。
レベルごとにモーション値が2ずつ増えるというわかりやすい変化をする。Lv3からLv4では1.25倍、Lv4からLv5では1.2倍となる。特にLv4からLv5への変化幅は他の矢タイプよりも急激なので、貫通矢でLv5に対応していることは明確なアドバンテージになる。
連射矢とモーション値を比較すると、4ヒット以上した場合は連射矢を上回ることがわかる。したがって、貫通矢を持ち込む相手の判断基準は、安定して弱点への4ヒット以上が見込めるか、が重要になる。
サンブレイクでは、属性ダメージの比率上昇や傀異化のシステム等が相まってある程度の体格かつ属性肉質が良好なモンスター相手なら、弱点に3ヒット程度でも十分火力が稼げる矢タイプになった。もちろん相性が絶望的な相手がいることには注意したい。
また、元から矢レベルごとの威力さが大きいことも相まって、溜め3Lv5が溜め4Lv4の1.1倍ほど威力が高くなることは知っておくべきだろう。
接撃ビン非装着時の適正距離が他の矢タイプと乖離しているため、出来る限り低い溜め段階の矢タイプも貫通である方が火力を稼ぎやすい傾向にある。
溜め4の立ち位置
いくら溜め3と溜め4の補正が下がったとしても、最低1.25倍(これは会心100%相当)のダメージが出る溜め3以上が主力になることは、今更言う必要は無いだろう。
サンブレイクでの大きな変化点である、溜め3と溜め4の威力の差が狭まったことについて触れる。
モーション値表を見ると、溜め3Lv5≧溜め4Lv4という図式になっていることがわかる。そのため、溜め3だがLv5持ちの弓が溜め4Lv4持ちの弓を上回る可能性はそれなりにある。
また、溜め3と溜め4にモーション的な差がそこまで無いライズにおいては、むしろ早期に最大火力が出せるという長所が際立つため、攻撃力と属性値を考慮して適宜採用していくことができるだろう。
一方で、溜め3以上の矢レベルが溜め4が使えるのであれば使ったほうが良い、というのも事実である。これは、弓溜め段階開放が装飾品で発動可能になったことが影響している。
ライズに比べれば弱体化したが、溜め4の解禁は補正だけでも物理属性双方で1.08倍以上の火力向上につながる。このようなスキルが【4】スロット1つで発動するというのはまずありえない(属性を加味すれば、超会心がLv2向上するような装飾品が追加されても、である)。
総括すると、溜め4が微妙or使えない弓だからといって候補から外す必要はなくなったが、相変わらず溜め4で高レベルの矢が扱えることは長所足り得る、というのがサンブレイクでの溜め4事情だろう。
おわりに
本記事ではモーション値を比較することで、扱える矢レベルを見てある程度武器が選定できる情報を提供した。
もちろん、高い矢レベルが溜め4で使えることに越したことはないが、サンブレイクでは溜め2や溜め3の火力も侮れないことがわかった。
最終的には武器の基礎スペックも合わせて考えるべきだが、ライズに比べていろいろな武器を候補にしやすくなったことは確かだろう。
今回はここまで。お読みいただきありがとうございました。
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