MHWから登場した回復カスタムは、与えたダメージの7%分自分の体力を回復する能力だ。正確にはMHWの時点では10%だったし、強化を重ねればもう少し回復量は伸びるが、現在の回復カスタムといえば、大概の場合7%を意味する。
剣士ではダメージの受けやすさと、防御力の高さ、スーパーアーマー行動の多さが相まって、人気なカスタム強化だ。しかし、弓に限って見てみると、矢1本のダメージ分しか回復が行われないため、ヴァルハザクを相手にする時などを除いては、ほとんど採用されることはなかった。
一方で、龍脈覚醒は攻撃時に自傷ダメージを受ける代わりに会心率と属性値を強化することの出来るスキルで、皇金の弓が解禁されてからは、弓でも主流となるスキルになりつつある。この自傷ダメージと付き合っていくにあたって、果たして回復カスタムはどれほど有効なのかについて書いていく。
弓の龍脈覚醒で起こること
本題に入る前に、弓で龍脈覚醒を運用している時に起きる問題について書いていく。
基本的な仕様
龍脈覚醒は、自傷ダメージを攻撃のたびに受けるが、一定数攻撃を当てると体力をその自傷ダメージよりもやや多めに回復する、という効果が発動することになる。大まかにその仕様をまとめると、
- 抜刀中8回攻撃を当てると回復(60程度)
- 8回の攻撃で40程度ダメージを受ける(1回あたり5)
- この回数は納刀によってリセットされる
この8回というのは、矢の本数ではなく、射った回数に対応している。そのため、例えば、剛射4を2回フルヒットさせても回復はしないが、剛射4のカス当たりを8回やれば回復する、ということである。
弓特有の問題
まず、弓の問題点として、体力200でやっと即死を免れる攻撃が多い、というものがある。体力増強が実質必須スキル化しているのは、体力150では歴戦危険度3のモンスターのそこそこ強そうな攻撃※で即死してしまうからだ。
※テオでいえばMRで追加されたいかにも強そうな粉塵の爆発など
そういった意味で、体力が40減ってしまうというのはなかなか深刻な問題で、別にモンスターからダメージを受けていなくても即死ラインが迫ってくると考えると、スキル自由度では快適な龍紋装備なのに、立ち回りは苦しい、という状況に陥りがちだ。
そしてもう一つ問題なのが、傷つけ頻度の高さである。弓は弱点を狙い続ける武器であるので、非常に傷つけとの相性が良い武器である反面、その火力も傷つけに支えられている。
そして、傷つけを行うためのしがみつき状態は納刀状態である。従って、傷つけを行うことは、回復のための攻撃回数のリセットになるのだが、直前まで回復が発動してなかった場合、約35のダメージを受けたまま、次の回復のためのカウントが開始されることになる。便宜上、このことを傷つけダメージ蓄積と呼ぶことにする。
これは本当に弓特有なのか?と思われるかもしれないが、まず多くの剣士は回復カスタムを搭載することが多いため、そもそも自傷ダメージをケアしながら立ち回るために傷つけダメージ蓄積は気にならない。
また、ボウガンも似たような状況下にあることもあるが、ヘビィボウガンは回復までが6回なため、比較的回復が間に合い易い。ライトボウガンは属性弾の適正が高いこともあって、そもそも傷つけを必要としない運用があるなど、弓と比べると工夫がしやすいとも言える。
そういったわけで、自傷ダメージで即死ラインに踏み込むことが多いことと、自傷ダメージ蓄積が起こること、この2つが弓での龍脈覚醒運用上の問題点だ。
回復カスタムの効果と代償
回復カスタムを施すことによって得られるメリットとデメリットについて
自傷ダメージをほぼ帳消しに
単純に5ダメージを回復するためには、一本あたり72もダメージを出さないといけない。相手にするモンスターの肉質や傷つけの有無、溜め段階によってダメージが著しく上下する弓では常に帳消し、とはいかないが、平均で43ダメージ出ていれば体力を3回復することが出来る。
体力を3回復することが出来ていれば、受ける自傷ダメージが最大40から16に軽減される。回復カスタムなしでは体力増強3をつけていても実質体力増強1未満だった状況が、回復カスタムによって体力増強2以上の体力を維持できる。
また、しがみつき武器攻撃はモーション値が20・20・35と、矢の2倍~3倍ほど物理ダメージが出る(ついでに属性補正は1.0なので属性ダメージも剛射4と同等)。実感としても1hitあたり70~100程度のダメージを出すため、5~7程度は回復すると言えるだろう。
つまり、本来は自傷ダメージ蓄積の可能性が高かった傷つけでは、かえって体力が回復し、問題であった自傷ダメージ蓄積を軽減することすら可能になる。
7回の攻撃後に傷つけをしてしまう、という最悪ケースを想定しても、回復カスタムでは武器攻撃の攻撃回数を考えると-50されていたはずの体力を、-14程度に留めることが出来る。
体力回復量upよりも確実
似たような自傷ダメージ回避手段として、体力回復量UPがある。ここまで読んでくれた人なら自ずとわかるとは思うのだが、弓ではそもそも回復が出来ないことが深刻な問題だ。体力回復量UPをつけたところで、しばしば即死ラインに足を踏み込む問題の抜本的な解決にはならない。
逆恨みとも共存可能
龍脈覚醒は逆恨みとの相性の良さが魅力的だが、回復カスタムで常に自傷ダメージを帳消しにするほど火力が出た場合は逆恨みの効果が消えたり発動したりを繰り返す。本当に効果が出るのか?という疑問を持つ人もいるかもしれない。
実際には弓の場合、(矢を射る)→(自傷ダメージ発生)→(逆恨み発動)→(攻撃hit)→(体力回復)→(逆恨み無効)となるため、確実に逆恨みが発動する。
ちなみに、剣士では攻撃モーションの真ん中ぐらいで自傷ダメージが発生している。攻撃の出始めは自傷ダメージが発生していないため、回復カスタムと逆恨みの相性が悪いこともある。
属性強化と入れ替えになってしまうが……
ここまでさんざん良い点を書いてきたが、回復カスタムはカスタム強化枠を使うため、実際には火力を下げて快適性を確保することに他ならない。
幸いにも、カスタム強化枠はどのレア度でも偶数で、弓の最重要カスタム強化である属性強化は枠を奇数消費するため常に1枠余ることになる。したがって3枠の回復カスタムを導入しても、属性強化を1段階下げるだけで済む。
属性強化を1段階下げると、属性値は30下がる。属性強化スキルLv6を発動していることが多いので、実質36に相当する。だいたい実戦投入される弓の属性値は800程度になるので、およそ4.5%程度属性火力が低下する。
しかし、この火力低下は立ち回りや考え方によっては気にならなくなる。それを示すために、先程から触れている即死ラインが気になって、40射あたり1回、回復を挟むために攻撃を止める立ち回りをしているとしよう。
その場合、回復カスタムを採用した場合に比べて、少なくとも2~3射攻撃回数が落ち込むと考えることが出来る。そうすると、同じ時間あたりの与ダメージ、つまりDPSで考えると、回復を挟むだけでDPSが5~7.5%低下することになる。
つまり、火力低下を嫌って回復カスタムを採用しなかったがために、かえってDPSを下げてしまうことになるのだ。もちろん、そもそも攻撃に当たることがない自信と実力があるのなら、回復カスタムなんて不要だ。しかし、弓はフレーム回避を要求される場面もそこそこ多いため、多くクエストをこなすのなら、回復カスタムも十分候補になりうるだろう。
また、今作は気楽にカスタム強化内容を変更できる。シルソルで使う場合は回復カスタムはほとんど役に立たないし、歴戦でもないモンスターを周回したりTAをしたいときは属性カスタムを使うべきだ。そんな時は、ちょっと加工屋に足を伸ばせば、簡単にカスタム強化を変更できるので、この記事を読んで気になった人は是非試してみて欲しい。
本記事では、弓で回復カスタムを採用することについて書いてきた。MHWの時点では微々たる回復量が影響して、人気のないカスタム強化だったが、龍脈覚醒の台頭により、かなり実用的なものになったと思う。特に、火力のために快適要素を省いてしまったがために回復が必要になることが実質の火力低下を招く、という考え方は龍脈覚醒や弓に限らない考え方だと思う。
今回はここまで。お読みいただきありがとうございました。
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