最後のアップデートと共に追加されたEXドラゴンシリーズおよびEX蒼世シリーズによって、弓装備にも細かなアップデートが施されることになった。シリーズスキルに防具を縛られるとはいえ、シルソルを蒼世に置き換えたり余った部位に圧倒的なスキル効率を持つドラゴンを用いることで、影の薄かった真属性会心装備の運用が実用的になった。
真属性会心が優れているか、龍脈覚醒が優れているのか、はたまたミラボレアスの弓が優れているのかといった話は本記事のメイントピックではない。本記事の主題はいざ真属性会心を使う場合、どの武器を採用するべきなのか、についての議論だ。多くの人にとって、この結論は龍属性はアルカニス、残りは覚醒弓だと容易に予想できるが、唯一火属性に限ってはガイラアロー火が属性解放のスキルを支払ってまで採用価値のある武器だと言える。
MHWの弓使いにとって、ガイラ火は後発ガイラ武器でありながら不遇という認識すらあるこの弓が、どんな歴史を歩んできたのか、そして結果としてどこが優れているのかについて書いていこうと思う。
MHWのガイラ火
MHW:Iから弓を触った、という人にとっては当時のガイラアローがどんな評価をされていたのかがわからないと思うので、ここから解説する。そもそもガイラアローが強かったのか?と思う人もいるかもしれないが、
- ガイラ水、雷、爆破が解禁
- ガイラ火が遅れて解禁(2018/08/02とおよそ2年前)
- 皇金系列が解禁
といった順番に解禁されていた。皇金武器が存在しない一定期間では特にガイラ水とガイラ雷は属性解放込みでも優れた攻撃力と属性値を両立する武器として鑑定武器らしいハイスペック武器として君臨していた。
そんな生産武器を凌駕する武器として期待されていたガイラ武器に新たな属性としてガイラ火は追加された。古龍で言えばキリンとヴァルハザクの弱点が突けるガイラ火のスペックは次のようなものであった。
- 攻撃力240(水と雷は228)
- 会心率10%(水は0%、雷も10%)
- 属性値360、要属性解放(水390、雷360)
- 【3】スロット(水雷と同じ)
- 強撃ビン対応(雷は対応、水は非対応)
- カスタム強化1回可能(現在とシステムが違う)
同系ガイラと謙遜無い優れた性能に見えるし、雷に関しては基礎攻撃力で10上回り、完全上位互換とも言える性能だ。しかし、ガイラ火は生まれた属性が悪かった。当時火属性にはジャナフアルカウスが君臨していた。
- 攻撃力240
- 会心率-20%
- 属性値390、属性解放不要
- 【1】スロット
- 強撃ビン対応
- カスタム強化3回可能
会心率のデメリットはカスタム強化を3回で帳消しにすることが出来、さしずめ上位版アルカニスとも言える並外れた生産武器が存在していたために、ガイラアロー火は決して弱くはないのに引いても嬉しくないガイラアローという印象が生まれてしまった。
最終的に僕のブログでどの弓がMHWで有力なのか、みたいな記事でもジャナフアルカウスが強すぎるので、あえてガイラ火を使うなら微妙に基礎攻撃力が10高いことを活かして無属性運用でもしたらどうか?みたいな、苦し紛れかつ属性武器として生まれたことを否定するような評価を下していた。
MRマムタロト解禁当初のガイラ火
MHW:Iになると、当然鑑定武器であるガイラアロー、そして皇金の弓共々MRのマムタロトが解禁されるまではMR相当の強化が出来なかった。解禁されたMRのマムタロトの素材を投入することで、ガイラアローも皇金の弓も基礎攻撃力を60、属性値を120上昇させた上にパーツ強化にも対応する強化が入る。
結果的にガイラアロー火が手に入れた性能は次のようなものだ。
- 攻撃力324(基礎攻撃力270)
- 会心率10%
- 属性値480、要属性解放(パーツ強化込みで550)
- 【3】スロット
- 強撃ビン対応
- レア12
というMRらしい性能に仕上がっている。しかしながら、ガイラ火はまたしても他武器や装備の関係で使用されることはほとんど無かった。その原因は主に3つの理由だ。
- シルソル4部位における属性解放が重すぎる
- 属性解放不要の覚醒弓が攻312/火500と高性能
- 皇金の弓も同時解禁。スキル枠を武器に覚醒弓もろとも倉庫送りにする。
とそもそも運用装備のスキルが不足し、スキルを削っても覚醒弓の方が基本的に優秀で、実はその覚醒弓も皇金弓のせいで存在が危ぶまれていたという三重苦。大概の人はそもそもガイラアローには注目すらしていなかったような気がしなくもない。
実はこのタイミングでも水纏い状態のネロミェールには最大ダメージが出る、というかなりニッチな需要があったものの、当時の装備環境は痛撃・体術を2つ投入してやっと弱特見切り超会心+属性強化+体力3体術5が実現出来る程度。そこに属性解放を入れようものなら体力増強どころか体術も切らなければならない、あまりにもピーキーな装備。生存スキルがほぼ発動できないので、素材集めや歴戦周回の運用なら覚醒火の方が適していた。
一方の皇金の弓はレア10以下で生存スキル十分の一線級の装備が組めるなど万人受けする要素満載。瞬く間に皇金の弓が人気を博す一方で、パーツ強化の面倒臭さを多くのプレイヤーに味わわせたが、これはガイラアローも該当するので尚更ガイラアローを完成させることを躊躇わせていたような気もする。
大概の弓使用プレイヤーに皇金ムフェトが安定で、火力特化時には覚醒シルソルも検討の図式はMRのガイラアロー実装と共に出来上がり、ガイラアロー自体が過去の武器という認識になっていたのは言うまでもないだろう。
Ver.15以降のガイラ火
冒頭で述べたようにEXドラゴンやEX蒼世が解禁されたことによって、今までスキルが窮屈と言われていた真属性会心装備にも矢強化を搭載するスペースが生まれた。
矢強化は【3】スロットと属性解放と同じスキル枠。加えて属性解放には複合珠が存在するために、今まででは不可能だった生存スキル発動可能なガイラアローの可能性が見えてくる。実際に装備を組んでみると、
シルソルαの補助もあって新たに加わった削撃珠も盛り込んでガイラアロー火は十分実用的な装備で運用可能※になった。
※水は蒼世によって同スキルが発動。雷は見切りを1削って武器会心とカスタム強化で補う必要がある。
結局この装備は強いのかというと、相変わらずネロミェール専用装備としての運用に留まる。というのも、そもそも龍脈覚醒よりも真・属性会心を用いて戦ったほうが効果が高いモンスターがネロミェールしか存在しない、という参戦モンスターの肉質的な問題がある。
一方で、真属性会心と組み合わせる弓としてはほぼ全ての火属性弱点モンスターに対して覚醒弓よりも優れていると言えることも同時に主張しておく。ちなみにこれはガイラ水やガイラ雷では起きない現象でもある(つまり水や雷では覚醒弓の方が優秀)。この理由は次の通りだ。
- ガイラ水と違い強撃ビンが運用可能
- ガイラ雷と違いカスタム強化を全て属性にしても会心率100%が実現可能
- 雷や水よりも絶妙に基礎攻撃力が10高いので、矢強化分の火力差が小さい
最も大きな理由は3つ目の他と比較され属性を捨てろとまで言われる原因になったわずかながらに高い基礎攻撃力にある。覚醒弓の基礎攻撃力は260なので、矢強化で追加される基礎攻撃力は26相当。一方でガイラアロー火が覚醒火よりも会心率100%達成時に上回る属性値は80となる。
属性値80が属性肉質/物理肉質=1/3程度(属性が通りにくい)のモンスターに与えるダメージが相当する基礎攻撃力は20程度。属性肉質/物理肉質=1/2(属性が通りやすい)のモンスターであれば相当する基礎攻撃力は29程度になる。
ガイラアロー雷のように基礎攻撃力が260だと、相手のモンスターの肉質によっては矢強化の差を属性値の差で上回ることが出来ない場合があるが、ガイラアロー火のように基礎攻撃力が270であれば、このようなことはほとんど起きないと言えるのだ。
ジャナフアルカウス意識でありながら勝てないことを前提に設定されたであろうほんのわずかに10高い基礎攻撃力は、2年の時を経て 唯一覚醒弓に勝てるガイラアローとして意味を成したと捉えることも出来る(あまりにも解釈する側に都合が良すぎる伏線回収である)。
ちなみに、来たる歴戦王イヴェルカーナへの評価は?というと、もちろん真属性会心の火属性弓としては最も有力である一方で、イヴェルカーナは龍属性が同じ値で有効なため、またもMR版ジャナフアルカウスとも言える生産武器、煌黒弓アルカニスの方がもっと有力であるというどこかで見たオチが待ち受けているのだった。
今回はここまで。お読みいただきありがとうございました。
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