しがなさが溢れていく

自己顕示欲に向き合うタイプのブログです

【MHW:I】歴戦王ネロミェールを考える

MHW:Iになって初の歴戦王として、ネロミェールが解禁された。解禁されて4日ほど経った現状を見る限り、評判は良くない雰囲気を感じ取っている。もちろん、僕も思うところは無いと言えばそれは嘘なのだが、開発側の意図を察するとわからなくもない部分はそれなりにある。そんなわけで、ネロミェールの感想に触れる上で、そもそも歴戦王とはどういったコンテンツに設定されているのかも含めて書いていこうと思う。

 

 

歴戦王の位置づけ

MHWの歴戦王を思い出しながら、どんな意図で設定されたコンテンツなのかを考えていく。

遊びきりクエスト

歴戦王を倒すと、γ装備および重ね着の作成に必要なチケットを手に入れることが出来る。しかし、チケット以外の素材は通常種でも簡単に手に入るものばかりである。もちろん、王鎧玉や刻まれた珠および封じられた珠が出ることもあるが、これらは別に特化したクエストが存在するので、間違いなく目標になる素材はチケットに他ならないだろう。

また、チケット自体1クリアに1枚というわけでもなく、多い時は3枚出たりもする。重ね着以外の装備に限定すれば、歴戦王ネロミェールでは少なくとも6回クリアすれば十分なクエストである、と言えるだろう。

 

つまるところ、強化されたモンスターをなんとか数回撃破して強力な装備を手に入れよう、というのが恐らく歴戦王の位置づけだと僕は解釈している。

 

MHWでの歴戦王

そういった意味で、MHWの歴戦王を見直すと、あからさまに既存個体の弱点を補強し、強みも増大させて好き放題難易度を上げる、という手法が取られていたと感じる。僕が個人的に印象的だったのは

  • 瘴気を防ぐ方法を尽く潰し、瘴気自体も大幅強化したヴァルハザク
  • 三種の新モーションを携え、範囲攻撃が驚異的になったゼノ・ジーヴァ
  • 影の薄い形態以降を早め、強力な攻撃を多用するようになったネルギガンテ

あたりだろうか。人によって捉え方は異なるだろうが、歴戦王はアップデートにより追加されることもあって、プレイヤーが生み出した既存の安定攻略法をかなり意識していたと言える。

 

例えば、ヴァルハザクはガンナーに蜂の巣にされたり、剣士であっても火力を十分に出し続ければ怯み続けるために脅威となる瘴気をほとんど吐き出すことがないと比較的攻略しやすいモンスターだった。それを防ぐかのように歴戦王では、瘴気纏い時には頭以外の弾無効化が設定され、怯み時に瘴気を吐き出すように変更された。

同じように考えれば、ネルギガンテでは武器の火力に対して白棘の耐久値がかなり低く、ある程度スキルが揃っていればダウンし続けていたし、頭突きのモーションがかなり隙が大きい割に多用されるために攻略しやすかった。対して歴戦王では、白棘の耐久値を上げ、さらに黒棘に変化するまでの時間を短縮した。そして、新モーションも含めより強力な攻撃を多用する形態変化を早めるように変更された。

 

これらに対して僕らプレイヤーがどんな印象を抱くかどうかはあくまでも結果の一つであり、開発側のスタンスはどうにかして難易度を上げようという一貫したものだったと僕は思う。

 

一部のモンスターではスキルや戦術の強要

とはいえ、僕も流石に倒す達成感よりも疲労感が強かった歴戦王もいた。それらに共通しているのは、歴戦王を倒すためだけの特別なスキルがほぼ必須だったり、明らかに特定の戦術が推奨されているように見えてしまう場合だ。

 

例えば、歴戦王ヴァルハザクは瘴気を大幅強化したために、瘴気耐性Lv3がより重要になったが、これは通常種でも重要だったものを攻略を進めていくうちになくても倒せるようになっただけで、特に問題ない。一方で、スリップダメージも大幅強化されてしまったために、回復カスタムがほぼ必須スキルになった。

他にも、ゼノ・ジーヴァでは熱ダメージ無効や耐震、ナナ・テスカトリのヘルフレアのタイミングでは耐熱の装衣や龍風圧無効があれば大幅に生存率が上がるなど、攻略のために必要となるスキルが増える歴戦王も多かった。

 

対策スキルを装備に組み込むのはモンハンの醍醐味といえばそうなのだが、一方でこのゲームでのスキルは装飾品にかなり依存している。もしくは、これらの対策スキルの実装自体が他のγ装備で発動させるのが良いという場合が多い。

装飾品の入手は運と試行回数が物を言い、γ装備はイベント限定なので、タイミング次第では揃わないことがある。いざ歴戦王の対策スキルを知ったからとスキシミュを回した時に、持っていない装飾品とγ装備で結果が埋め尽くされた時は、気持ちが萎えてしまうところがある。

僕もアイスボーン発売前にPS4版に復帰した時、ちょうど解禁されたのが大幅に強化された一方で対策スキルがほぼ不要な歴戦王ネルギガンテだったために、楽しく遊べたように思える。もしこれが、歴戦王ゼノ・ジーヴァであったら、なんとも言えない気持ちになっていただろう。

 

このように、歴戦王は遊びきりクエストという位置づけであるために、かなり意図的に難易度を上げる傾向があるコンテンツである。結果としてプレイヤーにとってやりすぎな印象を与えたり、ただ面倒になっただけな印象を与えたり、やりがいのあるモンスターという印象を与えたりする。

悪印象を与えてしまうのは、モンハンに限らず多くのゲームで開発側とプレイヤー側の受け取り方の違いがあるために、難しい問題だ。そんなわけで、今回解禁された歴戦王ネロミェールに対しても、極力好意的に解釈しながら、意見を書いていこうと思う。

 

歴戦王ネロミェールの感想

話題になっていることを中心に、歴戦王ネロミェールの感想を書いていく。

追加された弾無効化判定

僕がガンナーで遊ぶことが多いのもあって、まず最初にこの話題について触れる。これはもちろん、ネロミェールが翼傷つけをして貫通弾などで撃っているだけで簡単に攻略出来る、というものを強く意識したものだろう。

いわば、MHWにおける歴戦王ヴァルハザクと同様のものと言える。とはいえ、貫通弾が全く通用しないかというとそうではなく、胴体などは問題なく貫通弾が通るので、従来よりは難しくなるが戦えなくはない。ただ、胴体に傷つけ判定がないモンスターでこれをやるのは疑問だが

 

この弾無効化は納得する側面もあるが、安直すぎるとも思う。翼を傷つけて貫通弾で撃つ戦法は、確かにお手軽すぎだったと思う。ただ、貫通弾の楽しみは弾速の遅い弾で、モンスターの弱点にどうやって弾を通すのかを考えるところにある。弾無効化をやられてしまうと、翼ではなく頭や首などの比較的肉質の柔らかい部分に弾を通すことを考える以前に、弾が無効化されてしまうので貫通弾の楽しみを否定された上で難易度が上がったように感じた。

例えば、翼の肉質が著しく低下するだけであれば、翼をあえて狙って本命である頭に弾を通すような工夫が出来、露骨な調整であるものの、挑戦しがいがあったと思う。MRのマムタロトも物理弾の弱点はあの図体に対して狭い胸しかなかったが、そこに対して後ろから貫通弾を狙う立ち回りを考えるのが楽しかった。

 

クラッチクロー関連の対策

歴戦王ネロミェールは、露骨にクラッチクローに反応するようになった。よろけ怯みや後隙でもないタイミングでクラッチクローをすると、カウンター動作のようにしがみついたハンターを迎撃するかのような行動をとる。また、クラッチに関連して、ぶっ飛ばしをされるとそれまでの状況に左右されずにすぐ怒り状態になるように設定されている。

 

僕が戦闘中のクラッチクローを多用しない(特にぶっ飛ばし)プレイスタイルだったので、そこまで気になってはいなかったが、よくよく考えるとクラッチクローを追加要素として全面に押し出してきたMHW:Iでは異例の対応に見える。

とはいえ、簡単にダウン状態を作ることの出来るぶっ飛ばしを複数回通せるというのは特にマルチプレイでは想定以上に有用だった、という開発側の意図を感じなくもない。高難易度かつ遊びきりクエストの歴戦王では、モンスターとより真っ向勝負して欲しい、という意図と考えればそれなりに納得できる。

また、カウンター動作についても、ブレスの隙や後隙の長い攻撃の後であれば、クロー攻撃が十分間に合うので、強引なクラッチを防ぐという意図があったと思う。実際問題僕もネロミェールはお願いクラッチが通りやすいモンスターだと思っていたので、クラッチ関連の駆け引きが生まれたのは個人的に好印象だ。

 

一方で、ネロミェールの肉質からしても重要だった傷つけの頻度が大幅に低下してしまったのは疑問点だ。歴戦王ネロミェールは怯み値の上昇に付随してよろけ怯みの頻度が通常個体に比べて低下している上、上述のカウンター動作もあるので、しがみつき武器攻撃を通す回数がかなり減少したと思う。

とはいえ、弓を使っていると頭へのクロー攻撃から武器攻撃を繋げばモーションのおかげでカウンター動作の突進をきれいに回避できる。そのため、ネロミェールの非怒り時には後隙にクラッチクローを差し込めば、傷つけ付与が可能になる。

また、弓のような傷つけ2回武器、つまり傷つけの蓄積値が必要な10のうち5しか武器攻撃で蓄積できない武器では、クロー攻撃で蓄積される2も合わせて、傷つけ管理をするという新たな戦略が生まれつつある。ただよろけ怯みを眺めて武器攻撃をするだけでよかった傷つけに新たに考えることが増えて、個人的には楽しめている。

 

しかし、これが出来るのは弓のようにしがみつき武器攻撃の攻撃時間が短く、後方に飛び上がる特性のおかげであり、武器によっては本当によろけ怯みや装衣を使わないと傷つけ付与が出来ない

もちろんこれは、MHW:I開始当初からある傷つけのためのモーションが、威力や攻撃時間、傷つけ値の蓄積の差も含めて武器格差がある問題にも起因しているだろう。改めて、この問題について開発側に見直して欲しいと思っている。

 

強化状態の比率増加

歴戦王ネロミェールは、水纏い状態になりやすく、そして雷状態になりやすくなっている。そのおかげか、ネロミェールの強みであった、水たまりの爆破攻撃やスーパーノヴァ的な大爆発もよく見かけるようになった。これは多くの歴戦王で用いられてきた手法であり、特に問題の無い部分に見える。

一方で、上述の弾無効化や水纏い時の肉質硬化と傷つけ維持問題が目立ちやすくなり、結果として印象を悪くさせる要因になっている。逆に言えば、上記の問題が解決されていれば、強化状態と長く戦えるというのは、歴戦王らしくそして通常個体で向き合うことのなかった強さに対面できてチャレンジクエスト的な側面を増していると思う。

 

水たまりの増加と高速移動の当たり判定

ネロミェール自体、水たまりの上では極めて強力だが、水たまりが枯渇すると鈍重なモンスターだった。歴戦王ではより水たまりを作りやすくなっており、特に水纏い時は自身のいた場所を水たまり化するように変更されているため、より強力になっているといえる。一方で、歴戦王ネロミェールと戦うエリア2では地形の関係で水たまりの視認性が非常に悪く、突然爆発して被弾しているなんてことも珍しくなかったりする。

これは、上述の既存の強みを増していく方向性の調整で自然ではあるのだが、戦うエリアが妙に狭いことが多く、若干の悪印象を与えている。

 

また、それに関連することとして、水たまりの上を高速移動するモーションが、上記の特性のおかげか、水纏い時は地面の状態に関わらず実行されるようになった。これ自体はすばしっこくなっただけなのだが、悉くを滅ぼすネルギガンテよろしく、この行動に当たり判定が追加された

この高速移動がハンターに回り込むように行われるため、視点操作をされやすく、当たり判定でよろける。またこの行動自体は軸合わせモーションに近いらしく、すぐさま次の攻撃(突進や薙ぎ払いブレス)に繋げてくるため、非常に事故率が高いと感じた。

本来は移動と軸合わせにしか用いなかった行動に当たり判定を付与してしまったがために、最早ネロミェールの出し得行動と化している。恐らくこれだけを連打するAIが存在したとしたらかなりストレスフルなモンスターになっていただろう。個人的には、いつでも高速移動をするだけで十分強力で、この当たり判定付与に関しては本当に必要だったのか?という疑問がある。

 

ガードに対する強化

歴戦王のブレスは、ほとんどが多段判定化された上にノックバックが発生しやすくなっている。ガードが戦術の中心にあるランスやガンランスが使い物にならなくなるほどではない。確かに、範囲攻撃への対策として有効なガードを意識したのかもしれないが、爆発攻撃ではなくブレスにも強化が入るというちぐはぐさもあって、最早ただの嫌がらせにしか見えない。この多段化はもしかしたら不動の装衣によるゴリ押しを対策したものかもしれないが、それならブレスの威力を高めるだけでも十分だったはずだ。

マムタロトの範囲ブレスのように、範囲外への回避という他の方法が有効な攻撃に甘えてガードを行うと長時間拘束されるという性質にしたかったのであれば、特に薙ぎ払いブレスの多段化は余計だっただろう。

 

通常個体共通の問題点

ネロミェールの特徴として、水たまりに水流を発生させてハンターを拘束する、というものがある。特に雷状態では、爆発の回避が難しくなるため通常個体でも脅威だったといえる。より水たまりの面積が拡大しやすい歴戦王を相手にするには、対策必須の要素だろう。

しかし、この水流の対策は耐水の装衣と不動の装衣しか存在しない。もちろんこれらの装衣は整備スキルを活用すれば、多くの時間着用しながらネロミェールと対峙することが出来る。逆に考えると、他の装衣を使うことへの大きなペナルティと捉える事もできる。水流対策の選択肢がもう少しあれば、遊びやすいモンスターだったと思う。

もちろん、対策を特定のスキルではなく多くの人が入手しているであろう装衣にその対策範囲を収めたのは評価出来るし、選択肢を増やした上で今後も続けてほしいとは思う。

 

プレイヤー側の回答

ここまでの問題を総括すると、

  • 水纏い状態の増加により肉質が渋い
  • クラッチによる拘束や肉質軟化が難しい
  • 豊富な範囲攻撃

という部分が歴戦王ネロミェールと戦う上では課題となる。一部の武器では立ち回りの工夫で傷つけを通したり、水纏い時の火属性の通りに注目した手数武器での属性火力ビルドでの対応などが検討出来るが、普段使っている武器が歴戦王ネロミェールに不利だった場合は、かなり苦戦を強いられる

特に、たまにMHW:Iを遊ぶ、という遊び方をしている人にとってはなかなか苦しいモンスターであることには間違いないだろう。そのため、多くのプレイ動画で提案された歴戦王ネロミェールへの回答の多くは以下の2つ

  • 肉質無視かつガード可能な徹甲ヘビィ
  • 肉質無視かつガード可能な砲撃中心ガンランス

といった結果になっている。ネロミェール対策が確立していない人にとっては、普段使っている武器ではなくこれらの武器を用いることで良好なタイムで周回できた、なんてことも珍しくない。

 

これは、元からネロミェールの物理と属性の肉質が形態によって変化しすぎることや、その上でクラッチ対策を練り込んだこと、動き回りながらプレイヤーを拘束し範囲攻撃を行うといったこちらも元からネロミェールに備わった性質などが相まって出てきた回答だと思う。

個人的な意見としては、肉質無視ダメージは最低保障として機能し、弱点を狙うことでより有利に立ち回ることが出来る、というのが理想だ。だから、肉質を下げることは、上記の戦術の優位性を助長し、この理想から離れてしまう。MHWで弾の補給が出来るようになったために、徹甲榴弾がメイン火力として用いることが出来るようになったからこそ、この問題はしっかりと向き合っていく必要があると思う。

……発売から数ヶ月以上放射特化戦術が火力的にも優れていた上、依然として砲撃レベルが支配的なガンランスはそれ以上に見直されるべきかもしれないが。

 

例えば、歴戦王ネルギガンテはかなりの強敵だったが、しっかりと白棘を処理する立ち回りが出来ればみるみる狩猟時間が短縮される、やりごたえのあるモンスターであり、ただのチケットのための高難易度クエスト留まらない面白さを、様々な武器で楽しむことが出来た

幸運なことに、ネロミェールは弓との相性が良いため、戦い方を覚えれば有意に狩猟時間が短縮できるので楽しむことが出来たが、特に属性火力が出しにくい武器にとっては厳しいモンスターに仕上がっていると感じている。

 

まとめ

散々書いてきたが、歴戦王はいわゆるチケットを集めるだけ挑戦すれば良い、周回向きではないチャレンジクエストとしての側面が強いコンテンツだった。その観点で言えば、今回の歴戦王ネロミェールも諸々の感想を抱きながら突破するクエストなのかもしれない。

開発側の意図とプレイヤーが受け取る感想がずれてしまうというどんなゲームにも起こることが起因して、それがやりがいのある強敵になるか、面倒で不快なモンスターになるかは、ただの結果でしかない

とはいえ、楽しいモンスターというのは強弱に関わらず、成長を感じることの出来るモンスターであるというのは、多くのプレイヤーにとって共通なはずだ

 

これまで、プレイヤーの反応を確認した上で歴戦王を設定してきたであろう開発ならば、どんな方向性で行けば楽しんで貰えるかはだいたいわかっているのでは……?という僕の期待も込めて、これからの歴戦王を楽しみに待つことにしたい。

 

今回はここまで。お読みいただきありがとうございました。

 

質問・要望はこちらから

marshmallow-qa.com