MHRiseの弓では矢タイプと矢レベルが復活し、実戦投入できる弓の候補が格段に増えた。このバリエーションの増加は喜ばしいが、一方で、弓の性能を比較するのが一筋縄ではいかなくなったのも事実である。
そこで、弓ごとの性能を比較するために、まずは画一的な性能をしている百竜弓について比較していく。恐らく、多くの人が気になっていることは、「ライズの弓は物理火力が重要なのはわかっているけど、属性は本当に無視して良いのか?」ということだと思う。
本記事では、百竜弓において、物理特化した場合から属性重視にした場合までのダメージをいくつかのモンスターを例にして計算し、比較を行う。そこから大まかに今作の弓で優れた武器はどんな武器なのかという傾向まで議論していく。
前提条件
まずは計算をしていく上で前提としたもの、必要な知識などを紹介する。
百竜弓の性能
百竜弓は百竜強化を施すことで、属性や矢タイプ、使用可能ビンを指定することができる。本記事に関係する強化内容と基礎スペックについて簡易的に箇条書きする。
- 攻撃力210 会心率0% 接撃ビンのみ
- 攻撃力強化+10 と 属性強化+5を選択
- 無属性強化+10 と 属性付与Ⅱ(+15)、属性付与Ⅲ(属+20 攻-5)を選択
- 矢タイプを連射拡散貫通の3つから選ぶ。レベルは拡散が1/2/3/4、その他2/3/4/5
- 好きなビンを2種類まで追加できる(接撃ビンの場合は接撃強化)
- 減気ビンを開放すると攻撃力+10
といった内容になる。なお、その他の強化内容も存在するが、簡単な実質攻撃力計算により有効ではないとわかるので、ここでは紹介しない。
これらの性能が選択できるが、本記事では4種類の性能の弓を扱う。
- 無属性(攻撃強化/無属性/強撃/減気) :攻撃力240
- 属性Ⅱ+攻撃(攻撃強化/属性付与2/強撃/減気):攻撃力230 属性値15
- 属性Ⅲ+攻撃(攻撃強化/属性付与3/強撃/減気):攻撃力225 属性値20
- 属性Ⅲ+属性(属性強化/属性付与3/強撃/減気):攻撃力215 属性値25
なお、矢タイプに関しては、モーション値で区別するのでここでは明記していない。
スキル、アイテム使用状況など
スキルに関しては、護石の所持状況やスタミナスキルへの割り振り量によって差が生まれやすいといえる。本記事では
弓溜め段階開放Lv1/弱点特効Lv3/超会心Lv3/矢強化Lv3/属性強化Lv5
の発動を想定している。
アイテムに関しては、護符爪を所持し、怪力の種と粉塵を使用したときを考える。ヒトダマドリについては考慮しない。結局、これらアイテムの合計で攻撃力+35となる。
また、鉄蟲糸技の「剛力の弓がけ」を発動している状態を想定している。
最終的にステータス画面で表示される値は
- 無属性:攻撃力299
- 属性Ⅱ+攻撃:攻撃力288 属性値22
- 属性Ⅲ+攻撃:攻撃力282 属性値28
- 属性Ⅲ+属性:攻撃力271 属性値34
である。
ダメージ計算式
最初に、本記事のダメージ計算を行うにあたって参考にしたサイトを紹介する(いつもお世話になっています)。
上記サイトでは様々な検証が行われおり、以下で紹介する情報のほぼ全てのソースとなっている。
ダメージの計算式は
- 物理:(モーション値)*(弓溜め補正)*(((武器攻撃力)*(剛力の弓がけ補正)+(護符爪))/100)*(会心補正)*(ビン補正)*(矢強化補正)*(肉質/100)
- 属性:(属性値)*(弓溜め補正)*(肉質/100)
※剛力の弓がけ補正 1.1, 強撃ビン 1.35, 接撃ビン 1.2, 溜め3補正 物1.5/属1.0, 溜め4補正 物1.7/属1.125
※武器攻撃力の最終値の小数部分は八捨九入、最終ダメージは物理と属性をそれぞれ四捨五入したものを合計
モーション値は
- 連射:Lv4 10*4, Lv5 11*4
- 貫通:Lv4 10*n, Lv5 12*n
- 拡散:Lv3 7*5, Lv4 9*5
となっている。
これから結果を示していくが、 物理対属性比の関係で連射Lv4, 5と貫通Lv5を比較する(なお、連射Lv4=貫通Lv4)。拡散矢に関してはどの溜めレベルでも連射矢よりモーション値が低く、連射矢の結果から、計算が不要と判断した。
計算結果
肉質の傾向別に3種類のモンスターで計算した。
ジンオウガ頭(物理に弱い)
ジンオウガの頭の弾肉質は、物理70属性15とシリーズを通しても稀な物理ダメージに圧倒的に弱い肉質になっている。ジンオウガに関しての計算結果では、参考までにどのような計算式になっているのかも合わせて紹介する。
- 無属性
溜め3連射4強撃:10*1.5*2.99*1.2*1.35*0.7=50.8:51/71
溜め4連射5強撃:11*1.7*2.99*1.2*1.35*0.7=63.4:63/89
溜め4貫通5強撃:112*1.7*2.99*1.2*1.35*0.7=69.1:69/97
最終ダメージ:溜め3連射 61, 溜め4連射 76, 溜め4貫通 83 - 属性Ⅱ+攻撃
溜め3連射4強撃:10*1.5*2.88*1.2*1.35*0.7=48.9:49/69
溜め4連射5強撃:11*1.7*2.88*1.2*1.35*0.7=61.0:61/ 86
溜め4貫通5強撃:12*1.7*2.88*1.2*1.35*0.7=66.6:67/ 93
溜め3属性:22*1.0*0.15=3.3:3
溜め4属性:22*1.125*0.15=3.7:4
最終ダメージ:溜め3連射 62, 溜め4連射 77.5, 溜め4貫通 84 - 属性Ⅲ+攻撃
溜め3連射4強撃:10*1.5*2.82*1.2*1.35*0.7=47.9:48/67
溜め4連射5強撃:11*1.7*2.82*1.2*1.35*0.7=59.8:60/84
溜め4貫通5強撃:12*1.7*2.82*1.2*1.35*0.7=65.2:65/91
溜め3属性:28*1.0*0.15=4.2:4
溜め4属性:28*1.125*0.15=4.725:5
最終ダメージ:溜め3連射 61.5, 溜め4連射 77, 溜め4貫通 83 - 属性Ⅲ+属性
溜め3連射4強撃:10*1.5*2.71*1.2*1.35*0.7=46.0:46/65
溜め4連射5強撃:11*1.7*2.71*1.2*1.35*0.7=57.4:57/80
溜め4貫通5強撃:12*1.7*2.71*1.2*1.35*0.7=62.9:63/88
溜め3属性:34*1.0*0.15=5.1:5
溜め4属性:34*1.125*0.15=5.7:6
最終ダメージ:溜め3連射 60.5, 溜め4連射 74.5, 溜め4貫通 81.5
この結果から既に今後の計算結果を察した人もいるだろうが、物理が圧倒的に通るジンオウガ相手でも、属性を付与した方がダメージが出る。属性付与は実質攻撃力を10下げて15属性値を得ることに相当するが、実際には属性強化スキルの効果を受けられるようになるので、属性を付与することは大幅な強化になる。
ただし、どの程度属性に尖らせると良いのかはある程度モンスターの肉質に依存する。ジンオウガのような物理偏向肉質ではやや物理方面に寄せた方が有利と言えるだろう。
ゴシャハギ頭(中間)
ゴシャハギの頭の肉質は物理50属性25とちょうど属性肉質が物理肉質の半分。本作にはこれに近い肉質のモンスターが多い。
- 無属性
溜め3連射4強撃:36/51
溜め4連射5強撃:45/63
溜め4貫通5強撃:50/69
最終ダメージ:溜め3連射 43.5, 溜め4連射 54, 溜め4貫通 59.5 - 属性Ⅱ+攻撃
溜め3連射4強撃:35/49
溜め4連射5強撃:44/61
溜め4貫通5強撃:48/67
溜め3属性:6
溜め4属性:6
最終ダメージ:溜め3連射 48, 溜め4連射 58.5, 溜め4貫通 63.5 - 属性Ⅲ+攻撃
溜め3連射4強撃:34/48
溜め4連射5強撃:43/60
溜め4貫通5強撃:47/65
溜め3属性:7
溜め4属性:8
最終ダメージ:溜め3連射 48, 溜め4連射 59.5, 溜め4貫通 64 - 属性Ⅲ+属性
溜め3連射4強撃:33/46
溜め4連射5強撃:41/57
溜め4貫通5強撃:45/63
溜め3属性:9
溜め4属性:10
最終ダメージ:溜め3連射 48.5, 溜め4連射 59, 溜め4貫通 64
ある程度属性の通るモンスターであれば、属性ダメージの伸びの方が良いことがわかる。ただし、属性強化と攻撃強化のどちらを用いるかは、溜め段階や矢タイプに依存することがわかった。
ラージャン頭(属性に弱い)
ラージャンの頭の弾肉質は物理55属性30と属性が比較的通りやすいモンスターだ。
- 無属性
溜め3連射4強撃:40/56
溜め4連射5強撃:50/70
溜め4貫通5強撃:54/76
最終ダメージ:溜め3連射 48, 溜め4連射 60, 溜め4貫通 65 - 属性Ⅱ+攻撃
溜め3連射4強撃:38/54
溜め4連射5強撃:48/67
溜め4貫通5強撃:52/73
溜め3属性:7
溜め4属性:7
最終ダメージ:溜め3連射 53, 溜め4連射 64.5, 溜め4貫通 69.5 - 属性Ⅲ+攻撃
溜め3連射4強撃:38/53
溜め4連射5強撃:47/66
溜め4貫通5強撃:51/72
溜め3属性:8
溜め4属性:9
最終ダメージ:溜め3連射 53.5, 溜め4連射 64.5, 溜め4貫通 70.5 - 属性Ⅲ+属性
溜め3連射4強撃:36/51
溜め4連射5強撃:45/63
溜め4貫通5強撃:49/69
溜め3属性:10
溜め4属性:11
最終ダメージ:溜め3連射 53.5, 溜め4連射 65, 溜め4貫通 70
無属性との差は開くが、攻撃強化にするか属性強化にするかは僅かな違いである。しかし、接撃ビンを使った場合は属性ダメージの差はそのままに、物理ダメージの差が小さくなると予想できるので、やや属性特化が優勢だろうか。
考察
上記の計算結果を踏まえて、本作の属性値について考えていく。
属性値の必要性
本作においては、属性スキルの弱体化と物理火力の大幅増強によって、与ダメージにおける属性ダメージの割合がMHWの頃に比べると大幅に低下した。しかしながら、スキルシステムの関係から、属性強化スキルは物理火力スキルを減らさずに発動できるという利点もある。
似たように物理弓が注目された、MHW:Iのボレアス弓との違いを考えると、ライズの弓では、属性弓も十分大きい物理ダメージを与えていることが大きな違いである。ボレアス弓は他の弓に比べて上位弓1本以上の攻撃力差をもって属性ダメージの差を逆転していた。
優秀な弓とは
では、本作の弓でも属性値が重要なのだろうか。属性値も重要だが、それ以上に重要なことがあると考えている。それは、矢レベルと溜め段階が噛み合っていることである。
上述の通り、属性弓でも優れた物理ダメージを発揮できるが、それは高い矢レベルのモーション値と高い溜め補正を両立したときである。百竜弓においては、矢タイプと矢レベルを攻撃力や属性値に関係なく指定できたために、このような単純な比較になった。しかしながら、生産武器では矢レベルや属性値、攻撃力がまばらなことに注意しなければならない。
そこで、これらの結果を総括すると、本作で優秀な弓の傾向は
溜め3や溜め4に出来ればLv5、少なくともLv4を持っている上で属性値が高い弓
といえるだろう。特に矢レベルの違いを考慮せずに攻撃力や属性値のみで弓の優劣を判断することは危険であるといえる。
おわりに
本記事では百竜弓の性能比較によって、本作で優秀な弓の傾向について書いてきた。計算結果から、本作でも属性値にはある程度の意識を向ける必要があることがわかった。
百竜弓に限った結論を出すとするなら、攻撃強化+属性Ⅲまたは属性強化+属性Ⅲが汎用性が高いと言えるだろう。本計算結果は強撃ビンでの計算結果であるため、接撃ビンにおけるダメージも見越した、属性強化+属性Ⅲが個人的にはおすすめだ。
今回はここまで。お読みいただきありがとうございました。
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